どうやってかかわる?~乳児のイヤイヤ期~
育児2024年12月06日
1歳~2歳児ぐらいの特徴的な姿として、皆さんご存じ”イヤイヤ期”とよばれる時期がありますよね。
園でも乳児クラスでは様々な場面でお子さんが「イヤ~!」という姿が見られます。
「自分でやりたい~!(でもできない!)」
「○○したかったぁ~!」
「いきたくない、やりたくない~!」
「よくわからないけど、とにかくイヤ~!」…などなど。
クラス内ではもちろん、送迎中の保護者の方々とお子さんとの間でのイヤイヤ大バトルが繰り広げられている様子もよく目撃されます。
おうちでもきっと同じように大バトルが行われているのだろうなあと容易に想像でき、頭が下がります。
そんなイヤイヤ期の子どもたちにどうかかわるかは、子どもにかかわるすべての大人が頭を悩ませたことのあるものなのではないでしょうか。
よく、「保育園の大人の言うことは聞く」と保護者の方に言われることもありますが、保育園で過ごす長い時間の中ではもちろんイヤ~!と大騒ぎすることもあります(一応園の大人には遠慮して、自分のママ・パパに見せるイヤイヤよりはちょっぴり控えめかもしれませんが笑)。
私たち保育士も、子どもがイヤイヤ状態に陥ったときに、こうすればピタッとおさまる!というような魔法が使えるわけではありません。子どもによっても性格や理解力、切り替えが上手・苦手などの個人差や、イヤイヤの理由もその時によって違うので、イヤイヤ状態の子を前にして”さて、どうしようかな”と考えるのは保護者の皆さんと一緒です。
魔法は使えませんが、こういう方法や手順をふんでいくとイヤイヤが起こりにくい・おさまりやすいといったことはいくつか思い浮かぶので、今回はそれをまとめてみたいと思います。
<子どもが「イヤ~‼」と言い出したら?>
・「嫌なの?」「そうなのね」とまず一旦イヤという気持ちを受け止める!ここで、「嫌じゃない!〇〇するの!」となってしまったら、子どもはよけいにイヤイヤいうものです。こちらからの要求はしないで、まずは受け止めます。そして子どもが何が嫌なのか、どうしたいのかを考えてみます。
そしてここからは実践編。子どもが気持ちを切り替えられるように、具体的にどんなことを大人がしているのかをいくつかあげてみます。
①提案する
「こうしてみるのはどう?」「こうやったらできるかも」「またあとでやろうか」など、提案をしてみます。大事なのは、提案を押し付けないこと。大人の提案を聞き入れるか聞き入れないかは子ども次第です。
②選択させてあげる
「○○と△△、どっちがいい?」と選択肢を出すのも方法の一つです。イヤイヤ言っていても、二択を出すとどちらかあっさり選んでくれることも多いものです。大人にそうさせられたわけではなく、”自分で選んで決めた”と子どもが感じることで気持ちを切り替えやすくなります。
③時間を与えてあげる(待ってあげる)
少し好きにさせておくことも作戦のひとつです。自分でできないけど、やりたいならやらせておく・泣いたり大騒ぎしているなら、しばらくさせておく。言葉は悪いかもしれませんが、少し”放っておく”。そうすることで、思い通りにならず大騒ぎしていた子がクールダウンしてきたり、自分でやってみたけどやっぱりできないから大人に助けを求めたり、自分で切り替える”間”を与えてあげます。
「待ってるからね~」「何か手伝うときは言ってね~」と、大人が助け舟をだしておくことで、切り替えやすくなることもあります。行為としては”放っておく”けれど、無関心で放っておくわけではなく、心で気にかけながらそっとしておきます。
④その先のできごとを知らせる
状況や先の見通しを伝えて切り替えられるようにするのも有効です。何かがやりたくなくてイヤイヤになっているときは、その先にある子どもにとって魅力的なことを知らせてあげたりもします。例えば『オムツ替えたくない!』というとき…「外にあそびにいこうか」→「じゃあ急いでオムツ替えちゃおう!」といった感じです。切り替えるために何か特別なことを用意する必要はなく、いつもと同じことでも楽し気に誘ったり、言い方を変えるだけでも子どもは乗り気になったりします。
だいたいこれらのステップを踏んでいく中でイヤイヤ!と大騒ぎしていた子も少しずつクールダウンしていき、しだいに大人の話や提案にも耳を傾けていってくれるようになることが多いと感じます。
もちろん、それでも切り替えられずイヤイヤ言い続ける場合もありますが、そういう時は「○○したかったよね、でもね今は難しいことなんだ。」等、こちらの思いを冷静に伝えることもあります。イヤイヤ言っているのをどうにかしたいからといって、子どものワガママをすべて聞き入れて要求を叶えてあげてはかえって逆効果です。”イヤなのはわかったけど、今はできない”と毅然と伝えることも大切です。そうすることで、子どももイヤイヤ言っても通らないという経験やどうして通らないのかという理由を学んでいきます。また、「お菓子あげるから」など物で釣ったり、何か子どもが怖がるもので脅かしたりして従わせようとすることもお勧めしません。何か”もの”がないと切り替えられなくなってしまうようになりかねません。
大事なのは、感情的にならずに接すること。大人がムキになって、イライラして接するとよけいイヤイヤが増し、時間もかかるものです。リラックスしてかかわることが短く解決するコツです!そしてもう一つ大事なのは、子どものイヤイヤ期のときは、何をするにも”時間はかかる”ということが大前提だということです。
お出かけしたい→子どもが自分で靴を履きたいと言う→自分でやり始めるがうまくできない→~時までに行かなきゃ間に合わないから大人が見かねてやってしまう→手を出されたことがイヤで大騒ぎし、さらに時間がかかる…。
こんなことも起こりがちです。大人が”家を出るまでに時間がかかるだろう”と予測し、5分でも10分でも早めに支度を始めておけば、子どもが自分で靴を履いてみようとする時間を待ってあげることができます。
イヤイヤ期は子ども自身が自分の意見が言えるようになってきたという、自立していく大切な時期でもあります。自分でやりたい気持ちを受け止めてもらい、自分でできることをある程度自分でやらせてもらえていれば、そこまでイヤイヤと言わないものです。子どもの意思をそっちのけで、大人の都合に合わせようとして大人が手や口を出しすぎてしまうことが、イヤイヤを助長させてしまうことにもなります。
とはいえ、忙しい日々のなかでいつも心穏やかに子どものイヤイヤに付き合うことも難しいですよね。イヤイヤ期も子どもの成長の一部で、永遠に続くわけではありません。イラっとしたら、まずは深呼吸!
今はそういう時期!成長の過程で誰もが通る道!と思って、冷静とリラックスさを心がけながら子どもたちにかかわっていきましょう!